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第6回 日本口腔育成学会年次大会

開催日:2017年5月14日(日)

会 場:TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13C
「子どもたちがより良く生き、より良く生活するため口腔育成を通じ、日本型ホームデンティストを目指そう!」

開催プログラム

講    演:

  • 日本型ホームデンティストの現状と未来について
    <講師:鎌田 秀一 代表理事>
  • 命の入り口を見直して体全体を綺麗に
    <講師:今井 一彰 先生 みらいクリニック(福岡市・内科医)>
  • 口腔感染症が医科歯科と社会を結ぶ~糖尿病から早死産まで~
    <講師:西田 亙 先生 にしだわたる糖尿病内科(松山市・内科医)>
  • チェアサイドで役立つ医療面接の知識~双方が幸せになるために~
    今井 一彰 先生、西田 亙 先生  進行:鎌田 秀一

会 員 発 表:

  • 食育実践予防歯科® ホワイト歯科クリニックの取り組み
    <講師:ホワイト歯科クリニック 新井 美紀(さいたま市・歯科衛生士)>
鎌田秀一代表理事 今井一彰先生 西田 亙 先生  新井美紀歯科衛生士

●講演詳細

命の入り口を見直して体全体を綺麗に

<今井 一彰 先生 みらいクリニック(福岡市・内科医)>

歯科界でも、呼吸に着目して口腔内治療を行う施設が増えてきています。口腔は、二つのエネルギーの取り込み口となります。すなわち食事と酸素です。食事は入り口のみの役割ですが、呼吸については「出入り口」ともなります。
息育とは、「口腔筋を鍛え、舌を正常な位置に保持し、正しい鼻呼吸で生活することにより、よりよい発音や健康に役立てること」で、小児期からきちんとした呼吸が出来る体を作っていくことは、生涯にわたって健康を維持することにも繋がります。歯科から、息育を発信することで歯科医療の重要性をより多くの人に認識してもらえるよい機会だと思われます。

口腔感染症が医科歯科と社会を結ぶ~糖尿病から早死産まで~

<西田 亙 先生 にしだわたる糖尿病内科(松山市・内科医)>

糖尿病は生活習慣病と呼ばれていますが、正しくは「社会が産み出す病気」、すなわち社会病と捉えるべき疾患です。九州大学の久山町研究によれば、糖尿病とその予備軍は4000万人規模であると推定されていますが、社会病は成人だけの問題ではありません。香川県の最新の報告によれば、小学生の2割近くが糖尿病予備軍に陥っているのです。
国の最大の宝である次世代を一体誰が守るのか?それは、歯科医療しかないと私は考えています。血糖値は口腔内の炎症に大きく影響を受けますし、口腔内常在菌であるFusobacterium属の感染は、早死産をもたらすことも明らかになっています。
本日の講演では、なぜ歯科医療が口腔感染制御を通して社会病に立ち向かえる唯一の存在であるのか?その理由を内科医の立場から解説させて頂きます。

食育実践予防歯科® ホワイト歯科クリニックの取り組み

<ホワイト歯科クリニック(さいたま市) 新井 美紀(歯科衛生士)>

3歳までの口腔内の環境を整えることが生涯齲食になりにくい環境を作ると言われております。そのことを地域の皆様に伝えたく10年前に乳幼児親子が通う食育カフェ ママ・キッズカフェを医院に併設しました。食育カフェのお客さまより得た知識は診療室では学べないことばかりでした。
食育カフェを通じ当医院が得た予防歯科・口腔育成の事例を交えながら、当医院の食育実践予防歯科®の取り組みをご紹介させていただきます。

チェアサイドで役立つ医療面接の知識 ~双方が幸せになるために~

<今井 一彰 先生、西田 亙 先生     進行:鎌田 秀一>

西田亙先生と私の共通項は、男性という以外にもう一つあります。それは、大学病院で医療面接技法を学生に指導していたことです。その中で二人が口をそろえて感じたことは「医療面接を知っているか、知らないかで医療人としての仕事はまったく違うものになる」ということ。
私もこのことを知らなければ、開業してからの外来診療はあり得なかったと言っても過言ではありません。医療面接というと、問診(病歴聴取など)と同じと思っている人もいるでしょう。それは大きな間違いです。疾患を診るのか(問診)、病いを診るのか(医療面接)と言い換えても良いでしょう。医療面接は、様々な効果を生み出します。例えば、診断の向上、患者さんの感情障害の把握、指導の際の行動変容、医師患者双方の満足のアップなどです。私たちは、疾患も病いもどちらも診なければならないのです。(今井 一彰)

デンタルインタビューで生まれ変わる歯科外来 ~敬意と共感を育むために~

皆様の中で、“医療面接(メディカルインタビュー)”という言葉を聞いてピンと来る方、もしくは実際にロールプレイング等の経験がある方は、どれ位いらっしゃるでしょうか?私は、日本の歯科界に医療面接の知識と技術が備わることで、間違いなくリコール率がアップすると信じています。外来における相互理解は、敬意と共感により育まれます。そのためには、マスクのあるなし、表情、声の調子、椅子の位置、手の添え方など、何気ないことが極めて大きな意味を持つのです。本講演では、医学部における医療面接の知識と技術を歯科向けにアレンジした、デンタルインタビューをご紹介します。(西田 亙)

第5回年次大会